僕は普段ウェブメディアの編集をしているのですが、取材時はカメラマンも兼任します。つまりインタビューする相手の方を撮影するのですが、初めて伺う相手だと「失敗したらやべえ」と思ってそれなりに緊張します。
人生初の撮影に臨んだときには、「取材の写真撮影」に関して調べても全然情報がなくて困ったことを覚えています。
そんなワケで、「インタビューや取材で撮影する担当になってしまった!どうしよう!」という人のために、失敗しないための撮影のコツをお伝えします。コンデジやスマホではなく、一眼カメラで撮影できる環境の人のためのレクチャーです。
※今回のインタビュー写真例は、全て「ぱくたそ」様からお借りしています。
インタビューや取材の撮影で知っておくべきポイント
取材に出かけて人物や施設の写真を撮るということは、それはもうプロとしての仕事です。まずはそんな意識で、気を引き締めていきましょう。
撮影時に気を付けるべきポイントは3つ。
- 意外と遠くから撮ることになる
- 部屋の中は意外と暗い
- 失敗できないから、RAWで保存しておきたい
事前に必ずチェックしておきたいことです。
意外と遠くから撮ることになる
インタビュー相手のすぐ近くでカメラを構え続けられるなら、ズームできなくても良いでしょう。でもそれは、喋る方からすると結構なプレッシャーです。
構図を考える必要もあるため、現実的には3m~離れた場所から撮るシチュエーションが多いと思っておいて下さい。
焦点距離で言えば、35mm換算で50mm~100mmくらいの範囲をズームできるレンズがあれば最高。スマホやコンデジだとズームするとどうしても画質が下がってしまうので、できれば一眼カメラを用意したいところです。
部屋の中は意外と暗い
屋内の撮影だと、いくら電気を付けても結構暗いです。スマホやコンデジでは見るに耐えない画質になってしまうことも。
しかし内蔵フラッシュを使うのは厳禁。ただ写すだけならそれでも良いのですが、正面からフラッシュを焚くとヤボったい写真になってしまいます。記者会見みたいなダサい写真しか撮れていなければ、せっかくのインタビューや取材が台無し。
対処法は2つ。バウンス撮影のできる外部ストロボを用意するか、カメラの性能で何とかするか。しかしストロボの場合、天井の高さや壁の色によっては対応できないことも。
なので基本的には、APS-Cかフルサイズの一眼カメラがあれば安心。ISO感度やシャッタースピードの設定で、基本的にはどこでも何とか対処できます。
失敗できないから、RAWで保存しておきたい
JPEGだけで保存するのではなく、ぜひRAWでも保存しておきたいところ。なぜなら基本的に撮り直しが効かないからです。
RAWで保存してライトルームなどで編集すれば、多少暗かったりホワイトバランスがおかしくても修正できますし、キレイに仕上げられます。相手にも喜ばれること間違いなし。
取材に伺って写真を撮るということは、ただ記録として写すのではなく、読者にその人の魅力を伝えることが目的のはず。最低限の写真加工の技術は身に着けておきたいところです。
インタビュー・取材時の撮影のコツ
インタビューや取材のときの撮影は、主に人物にフォーカスすることになるでしょう。副次的に施設の様子なども撮るかもしれませんが、メインは人のはず。
というわけで、どうやって撮ればカッコよく撮れるのか?を解説します。
絞り開放、SS120以上、ISO感度は適時調整
まずはカメラの設定から。
室内で人を撮るときの基本的な設定は、絞り(F値)は開放。背景をボカして良い感じにしたいという理由と、明るさを稼ぎたいという理由からです。
次にシャッタースピードは120以上、できれば200~にしておきたい。これは「人が喋っているところを撮ると意外とブレる」からです。もしも絞り優先モードで撮っていた場合、「撮った写真全部ブレてた…」なんてことにもなりかねません。
口元は常に動きますし、笑顔がでれば顔が揺れる事も。そんな素敵な一瞬を切り取るには、シャッタースピードはできるだけ稼ぐべきです。
そのうえで、良い感じに明るく撮れる程度にISO感度を調整すればOK。完全にマニュアルではなく、明るさを設定しておいてISO感度はオートでも良いでしょう。
人は端に寄せて、目線の先を開ける。
基本ですが、人は端っこに寄せましょう。さらに目線の先を開けるようにすると、開放感がでて素敵な写真になります。逆にカメラ目線でど真ん中にドーンと入れてしまうと、なんだかヤボったい写真になりがち。
もっと思い切って端に寄せても良い感じです。
この写真は目線の先が詰まっていますが、左側に十分な空間が開いているうえ、さらに目線の先まで開けると「開放感ありすぎ」になる可能性もあります。このあたりは経験則で調整が必要なところ。
会話の途中の笑顔を狙いたい
例えば会話途中のふとした笑顔を撮るには、実は「この会話の流れなら、もうすぐ笑顔が出るな」という予測も必要になってきます。楽しそうな会話の流れのときは常にカメラを構えておき、笑顔がでた瞬間にシャッター連射です。
さらに言えば笑っているときはブレやすいので、前述したシャッタースピードにも注意しておきたいところ。意外とスキルが必要ですが、自分から笑わせにいければカンペキですね。
ちょっとした前景をいれて撮るとオシャレ
例えば観葉植物など、ちょっとしたものを前ボケとしていれると、写真のオシャレ感がアップします。ちょっと上級テクニックではありますが、お店の撮影などであればぜひ狙ってみて下さい。
喜ばれること間違いなしです。
三脚はあんまり意味ないかも…
例えばきちんとライティングをするような大掛かりな撮影や、物撮りなら三脚も欲しいでしょう。でもオフィスやお店に伺って取材相手を撮影する程度なら、三脚は邪魔なだけかもしれません。
三脚を導入する目的は、構図を固定したりブレを防ぐものですが、インタビュー相手は人です。喋っていれば人はどうしても動きますので、三脚でカメラを固定したところであまり意味がありません。いろいろな角度から撮りたいと思いますし、小回りの効く手持ちの方が無難。
室内の様子など動かないものを撮影する場合は有効ですが、インタビューや取材時の人の撮影には微妙ということです。
取材・インタビュー写真は、その人の魅力を伝えるもの
取材やインタビュー時に撮る写真は、ただ写れば良いというわけではありません。その人や施設の魅力を伝えるためのものです。
どれだけ良い記事でも、写真が汚ければ台無しになることも。ぜひ一眼レフをもって、カッコイイ取材写真を撮ってみて下さい。
では、健闘を祈ります。