絞り値(F値)を変えれば被写界深度が変わる!初心者にもわかるピントの話

「絞り値(F値)を小さくすればボケるって聞くけど、それってどういうこと?」「被写界深度ってなに?絞りとどんな関係があるの?」

カメラを始めたばかりの初心者だと、こんな疑問は多いはず。絞り値の設定はカメラの醍醐味。ぜひマスターしておきたいところです。

そこで今回の記事では、「絞り値が変わると、どういう理由で、写真にどのような変化が起こるのか」を詳しく解説。カメラの基本を身に着けましょう。

目次

絞り値(F値)とは

絞り値(F値)とは、「レンズがどれだけ開いているか」を表す数値です。「F/数値」で表しますが、数値が小さい方がレンズが開いています。

  • 絞り値(F値)を小さくすると、ピントが合っている部分以外がボケる
  • 絞り値(F値)を大きくすると、ピントが合っている部分以外も鮮明に写る

簡単に説明するとこんな感じ。これには「被写界深度(ひしゃかいしんど)」という考え方も関係しています。詳しい理屈は後述しますが、まずは絞りの大小で写真にどんな違いが出るのか見ていきましょう。

絞りを小さくして撮った写真の作例

絞りを小さくして撮った写真の作例
絞り値 f/4

例えばF/4の作例。猫さんにピントが合っていて、背景がボケています。こんな感じで、被写体にだけピントを合わせて、他の部分をボカしたいときはF値を小さくして撮ります。

例えば人を撮ったり、動物を撮ったり、何か被写体がハッキリしているときはF値を小さくして撮るのがオススメ。ボケ感があるだけで「なんだかプロっぽい」写真になります。

絞りを小さくして撮った写真の作例
絞り値 F/1.4

絞りF/1.4になると、ちょっとでもピントがズレていればボケます。ピントを合わせるのがとても難しくなりますので、普通に背景をボカしたいなら「F/2.8~F/4くらいが使い易い」と覚えておけば良いでしょう。

あるいは、とにかく「明るく」撮りたいときには風景撮影でも絞りを小さくして撮る事があります。

絞りを小さくして撮った写真の作例
絞り値 F/2.8

特に星景を撮るとき。とにかく明るさを稼ぎたいときは、風景でも小さい絞り値で撮影することがあります。ピントは合わしづらくなりますが、ケースバイケースですね。

絞りを大きくして撮った写真の作例

絞りを大きくして撮った写真の作例
絞り値 F/8

例えばこういった風景写真。画面全体にピントを合わせたいときは、F値を大きめに設定して撮ると綺麗に写ります。

一般的な風景写真は、F/8~F/12あたりを使うことが殆ど。

絞りを大きくして撮った写真の作例
絞り値 F/8

これもF/8。最初のうちは、「風景を撮るときはとりあえずF/8くらいで撮ってみる」と覚えていても良いかもしれません。

絞りを変えると、被写界深度が変わる

絞りを変えると、被写界深度が変わる
絞り値 F/1.4

まずは「F値が小さければ背景がボケて、大きければ全体にピントが合う」という捉え方で問題ありません。そこからもう一歩踏み込んだとき、「被写界深度(ヒシャカイシンド)」という考え方が出てきます。

例えば上の蕎麦の写真。「かきあげ」にはだいたいピントが合っていますが、その下の「どんぶり」はすこしボケていて、「お盆」なんてもうボケボケです。

これは、「かきあげにピントが合っていて被写界深度が浅い状態」だと言えます。

被写界深度が浅いと、ピントの合う範囲が狭い

被写界深度が浅いと、ピントの合う範囲が狭い
F/1.4はピントが合う範囲が薄い膜のようなイメージ

ピントの合っている範囲が、上の図のグレーの範囲だと捉えると、その分厚さが「被写界深度」です。F/1.4のように小さい絞り値の場合、ピントの合う範囲が狭く被写界深度が「浅い」状態と言えます。

被写界深度が深いと、ピントの合う範囲が広い

被写界深度が深いと、ピントの合う範囲が広い
もしF/8で撮ってたらこうなってるはず。

もしもF/8という大きい絞り値で撮った場合、ピントの合う範囲が広く、つまり被写界深度が「深い」状態になります。

同じ構図でF/8で撮っていれば、どんぶりの下くらいまではピントが合っていたはずです。お盆が少しボケるくらいの写真になっていたでしょう。

ピントの位置は自由自在

ピントの位置は自由自在
F/1.4で、ピントの位置をズラしたら…

さらに言えば、ピントの位置は自由にずらせます。どんぶりの真ん中あたりにピントを持っていったと仮定すると、こんな図に。「かきあげ」と「お盆」がボケて謎の写真になっていたでしょう。

ピントの中心から、どのくらいの分厚さの範囲にピントがあっているか。それが被写界深度の考え方です。

絞り値を変えると、この「被写界深度」が変わることによって、ボケさせたり全体にピントを合わせたりできるわけです。

これが、「絞り」に関して覚えておきたい基本事項です。

絞り値に関する用語解説

絞り値に関する用語解説

絞り値に関連する、さまざまな用語が存在します。カメラ界では日常的につかう用語ですので、ぜひ覚えておいて下さい。

  • 絞りを開放する・絞る
  • レンズが明るい・暗い
  • 絞り羽根

絞りを開放する・絞る

絞りを開放する・絞る

絞りを開放するとは、「そのレンズの一番小さいF値に合わせること」です。F/2.8-F/22のレンズなら、開放するならF/2.8になります。

関連して、そのレンズの一番小さいF値を「開放F値」と呼んだりします。「このレンズ開放1.4だからめっちゃ明るいんだよ」みたいな使い方です。

逆に、F値を大きくしていくことを「絞る」と表現します。「F4じゃ風景ボケちゃうから、もうちょっと絞ってF8で撮ろう」みたいな感じですね。

レンズが明るい・暗い

レンズが明るい・暗い

開放F値が小さければ小さいほど、「明るいレンズ」と呼ばれます。一般的には、F/4くらいまでなら割と明るいレンズ。F/2.8以下ならかなり明るいレンズです。F/1.4とかになると「最強に明るいレンズ」ですね。

その逆で、たとえばF/5.6とかだと「暗いレンズ」と呼ばれます。

一般的には、広角レンズの方が明るいレンズが多く、望遠レンズは暗いレンズが多いです。つまり「明るい望遠レンズ」はめちゃくちゃ高価。100万円を超えるレンズも存在します。

絞り羽根

レンズには「絞り羽根」という機構があり、これが開いたり閉じたりすることで、F値を調節します。物理的には、上の写真のような作りの部分です。

この羽根を閉じることで、光の通る範囲を狭くするのが、「絞る」ということです。逆に全開にして光の通る範囲をMAXにすることが、「開放する」ということ。

F値をカチカチと変えると、レンズの中のこんな感じの羽根が動いてるんだよ、という知識くらいでOKです。

絞り値をマスターすると、あなたの写真は思いのまま

絞り値を変えることで、被写界深度が変わります。それにより、例えば背景をボカしたり、逆に前側をボカしたり、あるいは全体にピントを合わせたりして、自分の思うがままの写真を撮影できます。

「シャッタースピード」や「ISO感度」とも密接な関係があるので、ぜひそちらもあわせてマスターしてみて下さい。

では、素敵なカメラライフを。

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この記事を書いた人

Nikon D750信者です。
北海道の風景が好きで移住してきました。主に旅先や日常、あとは神社の写真を撮っています。
道内のすべての神社をファインダーに納めるのが目標です。

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