退職時に有給消化を拒否されたときの対処法。使えるもんは使っていこう

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退職時に有給消化を拒否されたときの対処法。使えるもんは使っていこう

どうも、たくろーです。

今回は「退職時に有給消化を拒否されたときの対処法」というテーマでお話します。

退職を申し入れて、勇気を出して「有給も消化してから辞めたいんですが……」と伝えたときに「いやいや、忙しいんだから無理でしょ」と拒否される。

こんなシチュエーション、ブラックな会社だったらわりと普通にあります。

たくろー
現に僕が以前にいた会社は、無知な従業員に対しては「いやいや有給なんかあるわけないでしょ」みたいに突っぱねるようなクソブラック企業でした

そんな「退職するときまで有給消化が拒否される」みたいなことがまかり通って良いのか?アリなのか?

という話を、人事・労務として勤務していた経験をもとにお話していきます。

※当記事に掲載している「法律」に関わる解説部分は、人事労務の専門家である社会保険労務士の監修が入っています。

監修者プロフィール




監修者|北 光太郎(社会保険労務士)
中小企業から上場企業まで様々な企業で人事労務を経験。現在は独立し、webメディア運営などマルチに活動する専門家。
■保有資格
社会保険労務士(登録番号:01200006)

ファイナンシャルプランナー2級

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\この記事を書いた人/

たくろー
ブロガー
関西から札幌に移住してきました。会社ではWebメディアの編集長を。家では無心でブログを書き続けるブロガーとして生きています。以前はブラックなアパレル企業で人事やエリアマネージャーの仕事をしていて、退職代行からの電話を受けたことがあります。「一つの会社とか収入源に依存しない働き方がいいよね」というスタンス。著書『Webライターが書いてはいけない文章28選』

退職時の有給消化を拒否された!それってアリ?

退職時の有給消化を拒否された!それってアリ?

結論から言えば、有給消化を拒否する権利は会社にはありません。

なので、会社側が退職時の有給消化を拒否するのは明確に「ナシ」です。

これにはいくつかの根拠がありますので、まずは「退職時に問題なく有給消化できるロジック」を解説していきます。

有給消化は、好きなときにできると決められている

使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。

労働基準法 第三十九条より引用

会社に雇われているなら、パートでも正社員でも有給を消化する権利があります。

そして上記の労働基準法第三十九条によって「有給は申請すれば好きなタイミングで使えますよ」と決められています。

つまり、退職時だろうがいつだろうが、有給は使えるということです。

会社側には「時季変更権」があるけど、退職ギリギリだと行使できない

使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

労働基準法 第三十九条より引用

ただし会社側にも「時季変更権」という名の権利が与えられています。

例えばシフト制の職場で、スタッフから「この日は従業員全員で有給とって休んでプール行きます」って言われると、お店が営業できなくなりますよね。

そんなときは「いやいやそれじゃあ事業の運営の妨げになるから、何人か時季をずらしてよ」と調整できるわけです。

ただそういう「事業の運営の妨げ」になるタイミングじゃないと使えないのと「退職日が決まってて、いま有給使わないと消化しきれない」という場合とかは、有給使う権利の方が優先されます。

たくろー
あくまで有給を使えるのが前提で「時季変更」させる権利なので、変更後のスケジュールを会社側で用意できないならダメって話ですね

つまり、退職時に有給は消化できます。

転職先の勤務開始日と有給消化のタイミングが被るときは注意!

微妙に話はズレますが「有給消化中に転職先で働き始める」ということになると、ちょっと話がややこしくなります。

たくろー
有給消化中はまだ前の会社に在籍している形になるので「雇用保険どうすんのよ」みたいな話になったりするんですね。

とはいえ基本的にはなんとか調整してもらえるんですが、これは辞める会社の就業規則を確認した上で「転職先」と相談して下さい。

辞める会社の就業規則で二重就労が禁止されている場合、最悪「懲戒解雇」になる可能性もありますので、事前に確認しておきましょう。

退職時の有給消化を拒否される3つの理由

退職時の有給消化を拒否される3つの理由

というわけで「退職時も問題なく有給消化はできる」という話なのですが、実際問題として拒否されるケースもあるというのが問題です。

どちらにせよ「有給はあれば使える」ので、泣き寝入りしないように「なんで拒否されたのか」という理由を知っておきましょう。

1. 「拒否すれば丸め込める」と思われている

あなたの会社がブラック企業であれば「まあ使えないって言っとけば泣き寝入りするだろう」というモラルハザードが起こっていて拒否されたというケースが考えられます。

たくろー
ブラックなら基本的にこれが理由ですね。

使えないとかあり得ませんので、上司が話にならないなら人事部とか労務担当とかに直接連絡してみることをおすすめします。その会話も、一応録音しておけばカンペキです。

2. その上司が馬鹿すぎて有給について理解できていない

あるいは会社側に拒否する気は全くなくて、あなたが退職を申し入れた上司が「めちゃくちゃ馬鹿で有給のことをわかってない」という可能性も考えられます。

信じられないかもしれませんが、僕が前にいた会社だとこんなレベルの低い役職者がいたのも事実です。

たくろー
例えば「店長」レベルなら、ぶっちゃけこんな人沢山います

この場合も、普通に人事部や労務担当に連絡して確認を取りましょう。

3. まだ有給が付与されていなかった

(年次有給休暇)
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

労働基準法 第四章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇より引用

ただ一つだけ、会社に非がないケースとして「あなたに有給がない」というシチュエーションが考えられます。

有給は基本的には半年経ってからじゃないと付与されないですし、例えば欠勤の補填で何の気なしに消化してしまっている可能性もあります。

たくろー
会社によっては福利厚生で入社時に付与されることもありますが、辞めるとなると就業規則で別途ルールが定められてる可能性もありますので、要確認ですね。

有給日数の確認方法などは、下記の記事も参考にしてみて下さい。

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退職時に有給消化する際の、具体的な2つのスケジュール例

退職時に有給消化する際の、具体的な2つのスケジュール例

それでは、実際に有給を消化するとなったときの具体的なスケジュール例をご紹介しておきます。

退職するときは、だいたい以下の2パターンのどちらか、あるいは両方を組み合わせたような形で有給消化します。

自分がどんな感じで消化するのか考えておきましょう。

有給を消化しながら引き継ぎ期間を過ごし、退職日を迎える

退職を申し入れてからは、一般的に1ヶ月〜3ヶ月ほどの引き継ぎ期間を経て退職することになります。

退職までの期間は新しい業務を振られることもありませんし、ある程度時間に融通が効きます。

なので例えば「毎週2日ずつ有給を使っていって、週3日くらい出勤しつつ引き継ぎする」というようなスケジュールが考えられます。

たくろー
前半に集中して引き継いで、後任が仕事を覚えてきたら出勤ペースを落とす、というケースもありますね。

こんな感じで有給消化するのは、一般的なパターンの一つです。

最終出勤日のあとにまとめて有給を消化する

もう一つのケースが「最終出勤日までは普通に出勤して、その後まとめて消化する」というシチュエーションです。

たくろー
わりとこのケースも多くて、僕が以前の会社を辞めたときもこのパターンで消化しました。

この場合は「1ヶ月〜2ヶ月ほど働かずに金がもらえる」というボーナスステージになりますので、個人的にはこちらの方がおすすめですね。

この機会を利用して、やりたいことやりましょう。

どうしても有給消化を拒否されるときの4つの対処法

どうしても有給消化を拒否されるときの4つの対処法

有給消化は権利としてできるのですが、それでも会社や上司に「ブラックみ」があると、現実問題として拒否されることはあります。

そんな場合も泣き寝入りする必要はありませんので、具体的な対処法を4つご紹介しておきます。

退職を申し入れた上司の「さらに上の上司」に相談する

まずはその有給消化を拒否してきた上司の「さらに上の上司」に相談しましょう。

もう退職する会社ですので「評価がどう」とか「気まずい」とか遠慮する必要はありません。

たくろー
最後までめんどくさいこと言ってくる上司なので、やってやったら良いのです。

ここでは「退職するときに有給消化ができないと言われましたが、これは会社の制度としてそうなのですか?」と、メールで伝えたり、電話の場合は録音してみたり、という相談の仕方をしてみて下さい。

何かしらの証拠を残しておくと良いですね。

録音しておいて労働基準監督署に相談する

上司の上司に相談しても話にならない場合は、有給消化を拒否された証拠を持って労働基準監督署に相談しましょう。

各都道府県に相談先がありますので「労働基準監督署」でググれば自分の地域のものがわかります。

ちなみにタイミングとかそのエリアとかによって対応のスピードとかやる気は変わってきますが、相談すると「労働基準監督署から会社に指導が入る」という形になります。

会社側も「それは言うこと聞かないとめんどくさい事になる」ということで、だいたいは有給消化できるように調整してくれて丸く収まるというわけです。

弁護士に相談する

「ついでにこれまでのパワハラとか未払い残業代も金で解決したい」という場合は、一度弁護士に相談してみるのもアリです。

法テラスなどが有名ですが、今はLINEで弁護士に相談できるサービスもあります。

初回は無料で相談に乗ってくれるケースがほとんどですので、会社に一矢報いたいと言う場合は一度相談してみると良いでしょう。

退職代行に相談する

「わざわざ弁護士に相談するとなると敷居が高い」という場合は、弁護士の運営する退職代行に相談すると話が早くなります。

例えば「弁護士法人みやび」は弁護士が運営する有名な退職代行の一つで、基本的な退職手続きや有給消化の交渉などを55,000円ポッキリで済ませてくれます。

それに加えて希望すれば成功報酬20%で損害賠償請求まで請け負ってくれます。

たくろー
弁護士に相談するとなると「料金どれだけかかるのよ」ってちょっと不安ですが、こうやって金額が決まってるなら使いやすいですね。

「もう会社と話し合いをするのも、何もかもめんどくさい」という場合は、退職代行に丸投げするのもおすすめです。

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退職時は有給消化するのが基本。遠慮なく使おう

というわけで、退職時は有給を消化できます。

拒否されたからといって泣き寝入りする必要はありませんので、使えるものは使っていきましょう。

それでは、良い退職を。

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関西から札幌に移住してきました。会社ではWebメディアの編集長を。家では無心でブログを書き続けるブロガーとして生きています。以前はブラックなアパレル企業で人事やエリアマネージャーの仕事をしていて、退職代行からの電話を受けたことがあります。「一つの会社とか収入源に依存しない働き方がいいよね」というスタンス。著書『Webライターが書いてはいけない文章28選』

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