書籍化必至の『魔術師クノンは見えている』が面白い件について話したい

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書籍化必至の『魔術師クノンは見えている』が面白い件について話したい

どうも、たくろーです。

基本的に活字中毒なのでなんでも読むのですが、昔からweb小説も大好きです。

今回は小説家になろうで連載中の『魔術師クノンは見えている』が、あまりに秀逸すぎておすすめしたくなったので、レビューしていきたいと思います。

もしまだ読んだことがなければ、さっそくどうぞ。

今のところ、「小説家になろう」「アルファポリス」にて無料で掲載されています。

※やはり書籍化しました。2022年3月発売ですので、書籍版もどうぞ。

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目次

\この記事を書いた人/

たくろー
ブロガー
関西から札幌に移住してきました。会社ではWebメディアの編集長を。家では無心でブログを書き続けるブロガーとして生きています。以前はブラックなアパレル企業で人事やエリアマネージャーの仕事をしていて、退職代行からの電話を受けたことがあります。「一つの会社とか収入源に依存しない働き方がいいよね」というスタンス。著書『Webライターが書いてはいけない文章28選』

『魔術師クノンは見えている』とは

『魔術師クノンは見えている』は、南野海風さんが小説家になろうで連載しているweb小説です。

あらすじは以下の通り。

人生とは、たった一言で全てが変わることがある。

「英雄の傷跡」と呼ばれる呪いを受け、視覚を失って生まれたクノン・グリオン。
視界どころか生きる意味さえ見えない彼は、無気力な幼少期を送っていた。

そんなある日、身体に水の紋章が浮かび上がり、魔力があることが判明する。

だからどうした。

魔力があろうと、魔術が使えようと、見えないことには変わりない。
クノンには相変わらず生きる意味が見えなかった。

そんなクノンを、そんなつもりのない思いがけない一言が覚醒させる。

出典:小説家になろう

すごい真面目な物語っぽいですが、このあらすじ、ただのシュールギャグの前フリです。

『魔術師クノンは見えている』の魅力

『魔術師クノンは見えている』の魅力は、ストーリーはもちろん、そのワードセンスシュールギャグの秀逸さにあります。

クノンという男の子が主人公で、魔法が使えたり貴族がいたりするような、いわゆるファンタジー世界を舞台に描かれる物語なのですが、とにかく文章表現と物語の空気感が秀逸で面白い

クノンは「生まれつき盲目」という、まあまあ重いシチュエーションから始まるのですが、なんだかんだで見えるようになり(まあ、見えないけど)風船ぐらいのテンションの軽さとシュールなギャグを交えつつ物語が進んでいきます。

それなのに、節目節目では「なんか、そういうのええやん」と思ってしまうような良い話も挟まってきたり、とにかくアホなだけじゃなくて素敵で読みやすい作品に仕上がっています。

ちなみに、魔法は出てくるものの今のところは別にモンスターとも戦いませんし、魔王はすでに昔に倒されています。

この物語は、魔法の研究に没頭したり、女の子をナンパしたりしながら日々を過ごす少年が見せてくれる(見えないのに)「日常系シュールギャグ魔法英雄譚(たまに良い話)」です。

僕が『魔術師クノンは見えている』で大好きなシーン

『魔術師クノンは見えている』の魅力の一つとして、そのワードセンスがあります。

クノンは息を吸うように小粋なジョークを飛ばしながら生きている紳士(?)なのですが、周りにいるメイドも魔法の先生もみんなアホみたいな性格をしていて、非常に秀逸なワードがたくさん飛び出す作品になってるんですよね。

そこでここでは、個人的にツボに入った『魔術師クノンは見えている』のワードやセリフを元に、好きなシーンをいくつかご紹介したいきたいと思います。

※多少ネタバレ?もありますので、お嫌いな方は一通り読んでからご覧ください。69話時点までの内容で書いています。

そういうのはよくわからないからとにかく教えてくれないかな、とクノンは思った。

僕がクノンを大好きになったきっかけは、3話「やるべきことを定める」の最後にポンっと置かれたこのワードです。

クノンが「体を鍛えるために素振りでも始めたい」という話になったのですが、その先生として名乗り出てくれたのが高明な剣術の師匠でした。

そこでクノンが「目も見えないし、まともな剣術なんてできないけどいいの?」と聞いたところ、その先生がなんか良い感じの説教めいたことを言ってくれるのですが、

「そういうのはよくわからないからとにかく教えてくれないかな、とクノンは思った。」

で締め括られます。それは流石にひどい。

家族は不在だったので、二人は何事もなかったように離れに引き上げた。

クノンは基本的に1話1話の最後にオチがついてるのが良いんですね。というわけで、これも7話「大した進歩」の最後の一文です。

クノンが魔法に没頭し始めて数ヶ月、見えないながらもなんと魔法で色を識別できるようになった!という展開に。

メイドのイコとめちゃくちゃ盛り上がり、最後に「これはもう家族に報告しなきゃ!」ということで、テンションが爆上がりした状態で本邸に行くのですが、

家族は不在だったので、二人は何事もなかったように離れに引き上げた。

で終わります。ええやん。

そんなことないですよ! 先生が教えることなくて僕を騙そうと必死になってる魔術の小細工とか大好きだったのに!

本当はもう教えられることがないのに、お金のために先生の座にしがみついていた魔法の先生が、クノンに「流石にもう教えることないから卒業だ」と伝えた時のクノンのセリフです。

察して全部わかってたのも良いですし、尚且つ実は本当に先生のことを尊敬してるし大好きだったというクノンと先生の関係性も含めて「なんかええやん」と思った、僕の大好きなシーンですね。

ちなみにこのセリフのあるシーンは16話「小細工の魔術師」。アホみたいなのにちょっとほっこりと感動する、素晴らしいワードセンスです。

ただいま。ミルクティーをちょうだい。紅茶抜きで

クノンには多くの小粋(?)なセリフが出てきますが、シンプルイズザベストということで一つご紹介します。

68話「これが魔道具」で、クノンがメイドにホットミルクをお願いしたときに発したセリフですね。

ちなみに周りの人はクノンとの接し方をマスターしているので、この後普通にホットミルクが出てきます。

真面目に話が進んでいたのに突然アホみたいなセリフが出てきて空気をぶち壊していく、クノンという物語の良さを表しているセリフです。

ちなみに、作者の他の作品も面白い

ちなみに『魔術師クノンは見えている』を書いた南野海風さんは、これまでにも多くの作品を生み出してきています。

しかも丁度良いくらいのボリュームで完結させてくれていて、読みやすいのがとても嬉しい作家さんですね。

僕が読んで面白かった作品を、少しだけご紹介しておきます。

『俺のメガネはたぶん世界征服できると思う。』

『俺のメガネはたぶん世界征服できると思う。』は、2017年から2020年にかけて連載されて完結済のファンタジー作品。

「コミュ障な天才少年の成長譚」です。

一人ひとりに「素養」というものが備わるファンタジー世界で、狩人として生きる少年が主人公の物語。これもまたストーリーとしても面白いし、シュールな空気は最初から最後まで漂っているし、でも最終話はなんとなくウルっときてしまうような、「読んでよかったな」と思える作品にまとまっています。

個人的には、この作品を最後まで書ききったからこそ、クノンの小粋なシュールギャグが生み出されるようになったのではと感じました。

こちらは「小説家になろう」で全話無料公開されている他、コミカライズ、文庫化もされています。

あらすじ

人の視線が気になる狩人見習い、アルバト村のエイル。
15歳となり、成人と数えられる選定の儀式で、エイルは「メガネの素養」を言い渡される。

メガネ?
意味がわからない。

しかしエイルは、少しずつ、この「メガネ」が持つ数多の可能性を見出していく。

「これ、もしかしたら『メガネ』で世界征服できるかもなぁ。やんないけど」

メガネ少年エイルの奇妙なメガネ生活が始まる。

出典:小説家になろう

小説家になろうで『俺のメガネはたぶん世界征服できると思う。』を読む

狂乱令嬢ニア・リストン

『狂乱令嬢ニア・リストン』は、いわゆる「転生物」ながら一風変わったストーリー展開の作品。こちらも完結済みです。

ちなみに2019年〜2021年の期間に連載されているのですが、つまり「メガネ」と同時に書いてたんですね・・・すごい。

メガネがテクニカルなギャグだとすれば、こっちは脳筋系のギャグものです。個人的にはメガネやクノンに軍配が上がりますが、こちらも小説家になろうで無料公開されてますので、あわせてご覧ください。

あらすじ

この時代において、最も新しき英雄の名は、これから記されることになります。

素手で魔獣を屠る、|血雨を歩く者《レッドレイン》。
傷つき倒れる者を助ける、白き癒し手。
堅牢なる鎧さえ意味をなさない、騎士殺し。
ただただ死闘を求める、自殺願望者。

ほかにも暴走お嬢様、爆走天使、暴虐の姫君、破滅の舞踏、などなど。

様々な異名で呼ばれた彼女ですが、やはり一番有名なのは「狂乱令嬢」の名。

彼女の名は、これより歴史書の一ページに刻まれることになります。
英雄の名に相応しい狂乱令嬢の、華麗なる戦いの記録。

そして、望まないまでも拒む理由もなく歩を進めた、偶像の軌跡。

出典:小説家になろう

小説家になろうで『狂乱令嬢ニア・リストン』を読む

まとめ

『魔術師クノンは見えている』は、万人におすすめできるweb小説です。

バトル物が苦手な人でも、逆に日常系が苦手な人でもいけるのではないかという、一言では説明できないちょっと新しいジャンルの作品ではと感じました。

とりあえず無料で読めますので、ぜひチェックしてみてください。

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関西から札幌に移住してきました。会社ではWebメディアの編集長を。家では無心でブログを書き続けるブロガーとして生きています。以前はブラックなアパレル企業で人事やエリアマネージャーの仕事をしていて、退職代行からの電話を受けたことがあります。「一つの会社とか収入源に依存しない働き方がいいよね」というスタンス。著書『Webライターが書いてはいけない文章28選』

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