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有給とは何なのか、元人事部がめちゃくちゃわかりやすく解説します。

有給とはなんなのか解説します

有給とは何なのか、誰にでもわかるようにめちゃくちゃわかりやすく解説します。

私はもともと札幌の企業で人事として働いていたのですが、驚くほどに有給についての制度もルールも知らない社員が多かったのです。

働き方改革が叫ばれる日本、こんな状況で良いのでしょうか。

もしかすると世間は意外とそんな感じなのか?と思ったので、あまり難しい事は抜きにして基本的なことが理解できるように解説します。

間違った知識をお伝えするわけにはいかないので、当記事では下記のテキストの内容を参考にしています。
わかりやすく労働基準法について学べるので、資格勉強だけでなく一般教養にもオススメです。

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この記事でわかる事

有給休暇とは何か
どのように使えるのか
制度の全体像

<関連記事>ブラック企業にいいように使われていませんか?

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年次有給休暇とは何か

年次有給休暇とはなにか

有給=年次有給休暇とは、普段のお休みとは別で、追加で取れるボーナスのようなお休みの事です。これは労働基準法第39条で定められている労働者の権利です。

これには正社員、契約社員、パートなどの雇用形態は関係なく、全ての労働者に与えられます。(※条件あり、日数は異なる)

例えばフルタイムで働く方で、土日祝と盆や正月が休みの方は、年間で120日ほどのお休みがあります。これに関しては、「この日が休みです」と会社の規則でお休みの日が決まっていますよね。こういった規定のお休みを公休」と呼びます。

それとは別で、半年以上”まともに”働けば、有給休暇が10日もらえます

有給休暇は公休とは違って日が決められておらず、自分が休みたい日に宣言して使えば休めるという制度です。これは労働基準法という法律で定められているので、会社に雇用されて働いている以上は全員に平等にあるものです。会社によって違うなんてことはありません。

有給を持っている人は、「この日は有給つかって休みます!」と言えば、公休以外の日でも休めるというワケです。

つまり上記のような働き方の人なら、年間で最大130日ほど休めます。

一例:公休120日有給10日=1年間に130日休める!

年次有給休暇は誰に何日ある?

有給休暇は上でも書いたように雇用されて働く労働者全員に与えられる権利なのですが、受け取るには簡単な条件があったり、働き方によって与えられる日数が変わったりします。

それをわかりやすくまとめます。

有給をもらう条件

有給は毎年もらえるのですが、まず初回の有給がもらえる条件は以下です。

  • 入社日から6か月が経過した日に付与される
  • 既定の出勤日数の8割以上出勤している事が条件

この2つだけです。

冒頭で「半年以上”まともに”働けばもらえる」と書いたのはこの関係で、8割以上出勤している必要があります。

言い換えると出勤率が80%以上であれば良いのですが、計算方法は

(出勤した日数÷既定の出勤日数)x100=出勤率(%)

となります。

例えば月に20日出勤するはずの人が、2日間病気で休んで18日しか出勤しなかった場合
18日÷20日×100=90(%) です。

というわけで、ほとんどの人は問題なく受け取れるハズです。

貰える有給の日数

受け取れる有給の日数には普段の勤務日数が関係していて、5種類に分かれます。

1年目に受け取れる有給の日数は下記です。

  1. 週5日or週に30時間以上勤務する方=10日
  2. 週4日勤務の方=7日
  3. 週3日勤務の方=5日
  4. 週2日勤務の方=3日
  5. 週1日勤務の方=1日

週1日でもコンスタントに働いていれば有給が付与されます。

自分に有給が何日付与されるのか計算する場合に基準にしてほしいポイントが一つ。

・週に30時間以上働いているかどうか

これが焦点になります。

上の「1.週5日or週に30時間以上勤務する方」の項目で考えてみます。

1日8時間労働で週に4日働いている方は、週の勤務時間が32時間なので、1に該当します

逆に1日4時間労働で週に5日の方は、週の労働時間が20時間ですが、週に5日働いているのでこれも1に該当します

・労働時間が週30時間未満の場合、出勤日数によって有給日数が決まります。
・労働時間が週30時間以上の場合、有給は10日もらえます

週30時間以上かどうかが境界線なので、週30時間未満の労働時間の方の有給付与日数は、出勤日数でしか変化しません。

極端に言えば、週に1日1時間でもコンスタントに働いていれば、半年後には1日分の有給がもらえます。

貰える日数は年々増えていく

最初にもらえる有給日数は上に書いた通りなのですが、もらえる日数は年々増えていきます

すごい。

まず、フルタイムの方がもらえる日数は以下です。

入社日からの年数 付与される有給日数
0.5年経過 10日
1.5年経過 11日
2.5年経過 12日
3.5年経過 14日
4.5年経過 16日
5.5年経過 18日
6.5年経過 20日
以降1年ごとに 20日

ちなみに0.5年=半年です。1.5年だと1年半という事ですね。

6.5年以上働いていれば毎年20日ももらえます。めっちゃ休めますね。

これは転職したらリセットになりますので、同じ会社で働き続けていれば毎年もらえる日数が増えていくという事です。

それでは、フルタイムではない方はどうなるのでしょうか。以下の表をご覧ください。

入社日からの年数 週4日勤務 週3日勤務 週2日勤務 週1日勤務
0.5年経過 7日 5日 3日 1日
1.5年経過 8日 6日 4日 2日
2.5年経過 9日 6日 4日 2日
3.5年経過 10日 8日 5日 2日
4.5年経過 12日 9日 6日 3日
5.5年経過 13日 10日 6日 3日
6.5年経過 15日 11日 7日 3日
以降1年ごとに 15日 11日 7日 3日

長く働いていれば、日数の少ない方でもけっこう休めますね。

有給休暇をめぐる問題と法律

日本の有給休暇の取得率がめちゃくちゃ低いというのは、なんとなく噂で聞いたことがあると思います。

「えっ有給なんか取ったことない…」なんて方も、もしかするといるのかもしれません。

この状況がブラックすぎてマズいという事で、最近は法律が整備されてきました。少しずつですが、働き方改革が進んでいます。

有給休暇の付与義務

2019年度から、

「年に10日以上有給がある人には年に5日以上使わせてね。使わせなかったら会社が罰金払うか社長逮捕ね。」

という法律が増えました。労働基準法39条6項です。

義務とされているのはたったの5日とはいえ、これは労働者側にとっては朗報です。(#どうせなら全部を使用義務にしちゃえよ!)

対象になる従業員が5日以上有給をいない場合、会社から、「この日とこの日に有給つかって休んでね」と指定する必要があります。

指定しなければ違法ですし、指定しても実際に従業員が休まなければ違法です。
(「従業員が自主的に働いただけ」というブラックな言い訳をつぶす為に、従業員が拒否して休まなくても違法になります。)

さて、あなたは今何日の有給を持っているのでしょうか?上の項目の表に照らしてみてみて下さい。

たとえば週4勤務の方でも、3.5年以上たっていれば10日あります

あなたが1年間で受け取れる有給日数が10日以上ある場合、もし使わせなかったら会社側が罰金を払ったり社長が逮捕される可能性があります。

ブラック狩りです。おもしろいですね。

年次有給休暇の使用期限

気を付けて頂きたいのが、有給休暇の使用期限です。有給には消費期限みたいなものが決められていて、使わなかった分は付与から2年経つとなくなります。

例えば2020年1月1日入社のフルタイムの人の場合

取得日 付与される日数 有効期限
2020/07/01 10日 2022/06/31
2021/07/01 11日 2023/06/31
2022/07/01 12日 2024/06/31
2023/07/01 14日 2025/06/31
2024/07/01 16日 2026/06/31
2025/07/01 18日 2027/06/31
2026/07/01 20日 2028/06/31

こんな感じで、2020年7月に取得した有給10日のうち、使わなかった分は2022年6月に消えちゃいます。

ただし、有給休暇の使用義務で年に5日は必ず使わなければ違法でしたね。

有給を使うときは古い方から減っていきますので、少なくとも初年度に付与される10日は2年間で必ず使い切ることになります。(1年目に5日、2年目にも5日=2年間で計10日は使わなければ違法だから)

消える可能性があるのはその次の付与分からで、2年目に付与される11日のうち5日は必ず使うことになりますが、残りの6日は使わなければ消えてしまいます

ややこしいので図にしました。

わかりますか?(スマホだと余計見づらいかもしれませんね…。)

わからなければもっと噛み砕いて説明するのでコメント下さい。

年次有給休暇の使い方

さて、では有給休暇は具体的にどうすれば使えるのでしょうか?

会社としては、「有給使うときはこうやって申請してね」といった形で、何かしらルールを敷いているところが多いです。

ルールがない会社はヤバいので逃げた方が良いです。

そんなあなたは下記の記事をどうぞ。

というのは置いておいて、有給は具体的にどんな風に使えるのか、お伝えします。

有給を使うには申請が必要

好きなときに使えるとはいえ、使う場合は会社に申請が必要です。

申請の仕方は会社によって違います。人事部にメール一本送れば良い会社もあるでしょうし、申請書を書く会社、専用の申請フォームがある会社、いろいろです。

上司に「有給つかうときはどうすればいいですか?」って聞けば多分教えてくれます。教えてくれない会社は辞めましょう。

ただし、「この日に有給使います!」と申請しても、会社側から日程変更を依頼される事があります。これは合法なので、説明しておきます。

有給の時季変更権とは

会社側には、有給休暇の時季変更権という権利があります。

従業員から有給使用申請がでたときに、「その日に休まれると運営できないからこの日に変えてくれない?」と変更を依頼する権利です。

たとえば販売の仕事なら、複数のスタッフが同じ日に同時に休もうとしたとき

経理の仕事なら、年末調整や年度末の時期に複数の社員が同時に休もうとしたとき

いくら繁忙期であっても、「ただ忙しいから」という理由では時季変更権は使えなくて、上に書いたように「同時に休まれると会社の運営が死ぬ」ような場合に行使できる権利です。

使用拒否ではなく、「別の日に変えてね」とする権利です。

いつでも従業員の希望が100%通るわけではないという事で覚えておいて下さい。

年次有給休暇制度のQ&A

その他、有給休暇に関して出そうな疑問点をいくつか記載しておきます。

Q1:有給の買い取りはできますか?

A1:有給の買い取りはできません。

年次有給休暇という制度の目的は、「仕事を休んで体を労わる事」とされています。買い取りを許可してしまうと、そもそもの有給という制度の目的から外れてしまいますので、許可されていません。

但し、退職する際にスケジュール的にどうしても余ってしまう日数分の有給については買い取りが許されていますが、会社側に買い取る義務はありません。

Q2:有給1日あたりの金額はいくらですか?

A2:だいたいの会社では通常の賃金が支払われます。毎日の給与が違う雇用形態の方の場合は直近3か月間の1日平均の賃金が支給されるのが一般的です。

たとえば日給10,000円と決まっている方は10,000円。時給1000円で毎日8時間働く方の場合8,000円。月給の方は、支払われるというよりも休みが増えるだけです。

しかし、時給で毎日の勤務時間が違う方の場合は、3か月間の1日あたりの平均賃金で計算されるケースが多いです。

例えば

1か月目:20日働いて190,000円
2か月目:18日働いて160,000円
3か月目:20日働いて180,000円

毎日の勤務時間が違うと、こんな方も存在します。この方の場合は合計58日勤務で530,000円受け取っていますから、1日あたりの金額は

530,000円 ÷ 58日 = 1日あたり9,137円です。

9,137円が支給されます。

Q3:退職するときに残っている有給はどうなりますか?

A3:最終出勤日から残っている有給をすべて使って、使い切った日を退職日とする事もできます。

次の職場の入社日が決まっている場合などで取り切れなかった場合は、残念ながら諦めるしかありません。Q1でお伝えしたように、買い取りは許可されていますが、会社側に買い取る義務はありません。どうしても買い取ってほしい場合は交渉するしかないでしょう。

Q4:有給を使うと評価を下げられそうで怖いです…

A4:そんなヤバい会社辞めた方が良いと思いますが、「有給をつかった人に対して給与ダウンやその他不利益な扱いをしてはいけないよ」と条文でも定められています。毅然としていましょう。

あまりにひどい場合は転職しましょう。

  • 転職エージェントを使う
  • 退職代行サービスを使う

最近は上記の2択が流行っています。基本的には転職エージェントでこっそり転職先を決めて辞めるのがオススメ。下記の記事で詳しく解説しています。

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Q5:その他の権利も知りたいです。

A5:働く上では有給以外にも様々な権利があります。労働者が知っておくべき超基本的なことを下記の記事にまとめましたので、一度目を通してみて下さい。

働く人の権利
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有給はかしこく使いましょう

  • 有給はみんなにある
  • 有給はみんなが使える

有給は労働者の権利ですので、使えるときに使いましょう。記事内で書いたように、使わなければ会社側にペナルティが出る状況もありますし、会社側も有給使用ありきで業務運用を構えておくべきです。

「使うのはなんか悪いな…」とか思う方がいるのもわかりますが、その気持ちが日本を悪くしているということに気付くべき。

とはいえ、空気読まずに他の人に仕事をなすりつけてまで有給をとっていたら嫌われますので、自分がされて嫌じゃない使い方を心がけて下さい。かしこく使いましょう。

ではまた。

ABOUT ME
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北海道が好きすぎて関西→札幌移住。 現在は企業のwebライターとして勤務。人事部や小売のエリアマネージャーとして働いた経験もあり、採用や労務にはちょっと詳しいです。当メディアの情報が、仕事や人生に疲れた方のちょっとした手助けになればと思っています。